早期公開 和文要約

表題
溜め込みは何をもたらすのか:
ホーディング傾向とホーディングに因る諸問題の関係性に関する検討
著者
池内裕美(関西大学社会学部)
要約
本研究では、「ホーディング傾向」を“何らかの主観的な意味を付与しているために、モノを溜め込み、処分できない性向”と規定し、非臨床群を対象にweb調査を行った。まず基礎的な研究として、ホーディングの発現率と性・年齢要因との関連性について検討し、次いで、ホーディング傾向とホーディングがもたらす諸問題との因果関係について検証を試みた。調査対象者は453名であり、web上にて質問紙が配信された。主な結果は以下の通りである。1) 日常的にモノを溜め込む割合は、性別では女性、年齢別では30代において有意に高いことが見出された。2) 分析の結果、ホーディングは精神的問題、経済的問題、社会的問題、物理的問題を引き起こすことが認められた。また、共分散構造分析により、仮説モデルを検証したところ、「処分回避」や「拡張自己」といったモノに対する特別な執着が物理的問題を招き、それが他の問題を生じるといった因果関係が示唆された。3) さらに多母集団同時分析を行った結果、特に60代の因果モデルが他の年齢層と大きく異なり、処分抵抗がほとんどなく、物理的な問題が起きる可能性も低いことが見出された。
キーワード
ホーディング、過剰取得、強迫性購買、拡張自己、因果関係
表題
過去の旅行経験からみた観光地イメージ
著者
林幸史(大阪国際大学人間科学部)
小杉考司(専修大学人間科学部)
要約
本研究の目的は、過去の旅行経験によって観光地のイメージがどのように異なるのかを明らかにすることである。従来は、トラベル・キャリアや訪問回数といった観点から、過去の旅行経験が観光行動に影響することが明らかにされてきた。本研究では、人は旅行経験を積むことで発達的に変化を遂げる存在として位置づけ、過去の旅行経験の指標として47都道府県の宿泊経験を用いた。大阪府在住の500名を対象にインターネット調査を実施し、全国10カ所の観光地のイメージと47都道府県の宿泊経験について尋ねた。分析の結果、以下のことが明らかになった。(1)調査対象者は宿泊経験に応じて4つのクラスターに分類された。(2)国内旅行経験が多い人は、地理的位置と観光地の特性にもとづいてイメージしている。(3)訪問経験があり、国内旅行経験量も多い旅行者は、その観光地に対するイメージが画然としている。これらの結果を踏まえて、旅行者としての熟達過程について考察した。
キーワード
過去の旅行経験、国内旅行経験、熟達化、トラベル・キャリア、観光地イメージ