会長挨拶

日本社会心理学会は、1960年に発足し、社会心理学および関連諸領域の研究者や実践家の方々の活動を支える組織として運営されてきました。この間、社会心理学は、ヒトの生理的過程から、個人の認知や感情、対人関係、集団過程、社会、文化に至るまでの、幅広い現象を扱う学問としてその研究領域を広げていくとともに、神経科学、認知科学、哲学、言語学、教育学、法学、経済学、工学、理学などの多様な領域とも交流を深め、学際的な議論の場を生み出すことに中心的な役割を果たしてきました。

現在,人類が直面しているコロナ・パンデミックは、その最中の、また、その後の人と人との関係、個人と社会との関係、また社会そのもののありかたに対して新たな諸課題を突きつけており、これから突きつけてくるものと思われます。そこは,これまで社会心理学が積み重ねてきた定説や知見が通用しない世界かもしれません。しかし、社会心理学は、それが学問として成立した当初から、比較的新しい活発な科学として、常に変化する世界が突きつける諸課題と真っ向から向き合い、新しい理論や知見を生み出しながら、それらの諸課題の解決に貢献してきた歴史があります。大きく世界が変化する今だからこそ、社会心理学がその本領を発揮できるときであろうと思われます。日本社会心理学会は、会員のみなさまのこれまでの研究や実践を継続的に支えることと並行して、このコロナ・パンデミックという新たな挑戦に立ち向かう会員のみなさまの活動をもまた支えてまいります。これまで同様、会員のみなさまはもちろん、関連諸領域の研究者,実践家のみなさまのご支援,ご協力をお願い申し上げます。

2021年6月

日本社会心理学会会長
岡隆