第37巻 第2号 令和3年12月 和文要約
- 表題
- 後悔が災害関連行動に及ぼす影響:
平成30年7月豪雨に着目した検討
- 著者
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小宮あすか(広島大学)
岡野佑美(広島大学)
坂田桐子(広島大学)
- 要約
- 先行研究では、後悔が痛い教訓となり、行動変容を促すことを論じてきた。この議論を踏まえると、災害の文脈においても、後悔は迅速な避難や防災行動などの個人の被害を軽減するような行動を促進する可能性が指摘できる。平成30年7月豪雨災害に焦点を当てた2つの調査研究を通じて、本研究では、(i)人々が洪水災害後に後悔を経験するかどうか、また(ii)そのような後悔が人々の被害を減じるような行動を促進するかどうかを検討した。研究1では、被災者は災害経験を思い出すように求められた。この結果、約2割の人々が迅速な避難の失敗や防災への備えの欠如について後悔を報告した。研究2では、豪雨災害から約1年後、調査参加者はどの程度災害時の自分の行動を後悔しているか、またどの程度、被害を軽減するような行動をとったかを報告した。この結果、後悔の程度は、豪雨災害後の避難行動と防災行動の両方を予測していた。後悔と災害関連行動に関する今後の研究の可能性について議論する。
- キーワード
- 後悔、避難行動、防災行動、水害
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- 表題
- 買物意識尺度の開発:
公募型Web調査における妥当性検証
- 著者
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大久保暢俊(東洋大学人間科学総合研究所)
鷹阪龍太(東洋大学大学院社会学研究科)
山田一成(東洋大学社会学部)
- 要約
- 本研究の目的は買物意識尺度(SCS)の開発と妥当性の検証である。公募型Web調査(2016年実施)で得られた520名のデータに対して因子分析を行った結果、理論的に想定された2因子構造(快楽と効用)が確認され、それぞれの下位尺度の高い内的一貫性が示された。また、公募型Web調査(2018年実施)で得られた568名のデータにおいて各下位尺度の高い再検査信頼性が示された。さらに、各下位尺度と他の測度(ウィンドウショッピング行動と浪費抑制志向)の関連について検討した結果、各下位尺度が十分な構成概念妥当性を有することが示された。また、多くの場合、それらの関連は、性別、世帯年収、自由裁量所得の影響を受けていなかった。さらに、各下位尺度は、社会経済的要因、およびパーソナリティ要因によって強く規定されていなかった。最後に、本研究の含意と、オンライン消費者行動研究におけるSCSの有用性について議論された。
- キーワード
- 消費者意識、買物経験、Web調査
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