第38巻 第2号 令和4年12月 和文要約
- 表題
- 政治的謝罪への内集団からの反対は軽減できるか?
過去との分離・現状のシステムへの賞賛の効果への否定的知見
- 著者
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大坪庸介(東京大学)
日道俊之(高知工科大学)
稲増一憲(関西学大学)
小濵祥子(北海道大学)
三船恒裕(高知工科大学)
多湖 淳(早稲田大学)
- 要約
- 日本は第二次世界大戦後、多くの政治的謝罪を行ってきた。しかし、日本の謝罪は集団間赦しを促進しなかった。このような謝罪の失敗のひとつの原因は、国内に政府の謝罪への反対が存在することかもしれない。これまで、国内での謝罪への反対を緩和する要素が政治的謝罪には含まれている可能性が指摘されている。2つの研究(総サンプル数=1,500)で、過去の不正と国の現在の政治システムを分離する文言・国の現在の政治システムを賞賛する文言が政治的謝罪への反対を緩和するかどうかを検討した。結果は、このような緩和効果を支持しないものであった。さらに、これらの文言が特に強く反対する人達(例えば、社会的支配志向性が高い人達)の反対を効果的に緩和するかどうかも検討した。この効果はStudy 1で観察されたものだが、事前登録研究(Study 2)で再現されなかった。
- キーワード
- 政治的謝罪,社会的支配志向性(SDO),軍国主義,政治的保守主義,事前登録研究
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- 表題
- 中学生当時のいじめ被害と高校入学後の学校適応との関連
- 著者
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三島浩路(中部大学現代教育学部)
- 要約
- 本研究では、中学生当時に受けたいじめ被害と高校入学後の学校適応との関連性を検証する。高校生281人を対象に3期にわたる調査を行い、高校入学直前の調査では中学生当時のいじめ被害の程度、高校入学後の6月調査では抑鬱傾向と将来展望、さらに11月調査では学校適応をそれぞれ測定した。調査の結果を分析したところ、いじめ被害が学校適応を低下させる過程で、将来展望を構成する因子の「向社会的努力志向」「肯定的・積極的将来像」が関連する可能性が示唆された。
- キーワード
- いじめ、将来展望、学校適応、抑鬱傾向、高校生
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