第38巻 第3号 令和5年3月 和文要約
- 表題
- 社会的ジレンマ状況における罰の逆効果の検討:
Remove the sanctionパラダイムを用いて
- 著者
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大水野 景子(関西学院大学社会学研究科/日本学術振興会)
清水 裕士(関西学院大学社会学部)
- 要約
- これまでの研究で、罰システムが社会的ジレンマ状況における協力を増加させることが示されてきた。しかし、いくつかの研究では、罰がむしろ協力を減らしたり、他者の協力への期待を損ねたりすることが指摘されている。本研究では、罰制度を取り除いたあとの実験群の協力の程度が罰制度のある状況を経験していない統制群よりも低くなる現象を罰の逆効果と定義し、罰の逆効果が頑健に起こる現象なのかを概念的追試によって検討した。本研究の仮説、サンプルサイズ、分析デザインは事前登録された。本研究の結果は罰の逆効果を再現するものではなかった。結果から、本研究の罰の導入のしかたでは罰の逆効果は起こらないか、たとえあったとしても非常に小さな効果であろうことが示唆される。
- キーワード
- 罰の逆効果, 社会的ジレンマ, 概念的追試, 事前登録研究
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