第39巻 第1号 令和5年7月 和文要約
- 表題
- 多次元オンライン脱抑制尺度(MMOD)の作成および妥当性と信頼性の検討
- 著者
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温 若寒(大阪大学人間科学研究科/日本学術振興会)
三浦麻子(大阪大学人間科学研究科)
- 要約
- 本研究は、オンライン脱抑制的な心的状態とそれに関連する認知を多角的に捉える多次元オンライン脱抑制尺度(MMOD)を作成し、その妥当性と信頼性を検討することを目的とした。研究1では、20名の半構造化インタビューを通してオンライン脱抑制に関する73項目を作成した。2回の予備調査によって項目の表現を修正し、25項目のオンライン脱抑制予備尺度を構成した。研究2では、探索的因子分析と確認的因子分析を通して、4因子構造と3因子構造を比較し、最終的に3因子(オンライン環境の特別視、疎遠さ認知の変化、つながり認知の変化)12項目のオンライン脱抑制尺度を完成させた。先行研究による尺度との相関分析でMMODの妥当性が確認された。
- キーワード
- オンライン脱抑制、インターネット、尺度作成
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- 表題
- 職場において感謝がワークエンゲイジメントと文脈的パフォーマンスに与える効果:応答曲面分析を用いた検討
- 著者
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正木郁太郎(東京女子大学)
- 要約
- 感謝がさまざまな態度や行動にポジティブな影響を与えることを示す研究は多いが、職場において感謝の表明と受領がどのように異なる効果を持つのかについては未だ明らかではない。そこで本研究では、感謝の表明と受領を区別し、それらがワークエンゲイジメントおよび文脈的パフォーマンスに与える効果を検討した。分析の結果、感謝の表明と受領はともにワークエンゲイジメントと文脈的パフォーマンスに対して正の効果を持っており、効果の差は統計的に有意ではなかった。加えて応答曲面分析を用いた分析の結果、感謝の表明と受領には、ワークエンゲイジメントに対する一致効果が見られた。感謝の表明と受領の一致効果の重要性を示唆する点において、本研究には職場における感謝の研究に対する理論的貢献があるものと考えられる。
- キーワード
- 感謝、ワークエンゲイジメント、文脈的パフォーマンス、応答曲面分析
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