Ikeda, K. (2023)

Ikeda, K. (池田謙一)(2023) 
Contemporary Japanese Politics & Anxiety Over Governance.
現代日本政治と統治の不安
London: Routledge.
http://www.routledge.com/9781032159331

Chapters start by revealing the declining impacts of social capital on politics, the shrinking range of political parties from which to choose, and the mixing of Asian values with liberal democratic values. Then, by conceptualizing and empirically examining anxiety over governance, i.e., the perception of excessive risk for future governance, Ikeda explores the links of anxiety to Japanese political behavior. While the high regard for democratic politics lowers anxiety among the Japanese, the changes in Japanese political behavior/environment and culture contribute to a generally high level of anxiety, which also had a significant negative impact on the evaluation of countermeasures against COVID-19.

For more details, please see; https://www.eurekalert.org/news-releases/974690 NEWS RELEASE 16-DEC-2022

21世紀初頭の日本の政治の基盤に起きている複雑な構造変化を、この巻の6つの章を通して明らかにした。今世紀に入ってから顕著になった、投票や政治参加の社会的関係的基盤の喪失、草の根支援の弱体化、社会資本と政治の切り離し、投票に対する将来期待の影響の空洞化が生じたこと(第1章)、政治的意思を代表する候補者の選択において国民が認識する政治の選択肢の幅が狭まり、政治参加の意義の喪失をもたらしたこと(第2章)が明示される。また、アジアンバロメータ調査と世界価値観調査の20年間に及ぶ国際比較文脈の中で、日本人が依拠するアジア的価値観と自由民主主義的価値観の重要度のバランスの不整合が文脈依存的に日本人の政治行動に影響を与えることが析出され(第3章)、客観的リスクに対して過剰に膨張した拡散的な社会・政治的不安である「統治の不安」の強固な発現が世界価値観調査の最新の10年間のデータの中で一貫して観察された(第4章)。統治の不安の構造をさらに解明し、概念的に位置づけるために、第4章の最終節では、Fiorina(1981)が導入した政治に対する回顧的評価と将来期待評価の負の側面を示す対の概念として、政治不信と統治の不安を概念的に位置づけた。これらの否定的側面の共通の特徴は、その特徴的な拡散性である。我々は、この拡散的な否定的将来期待が、上記の日本における統治の不安という過剰なリスク認知として現れると予測した。その予測を実証する形で、COVID-19のパンデミックは、統治の不安を社会の表層に顕在化させ、危機に有効に抵抗できない政治に人々がショックを受けることを、2020年第1波の国際比較データ分析、2021年衆院選挙のインターネット調査の分析によって明らかにした(5章)。最終章である第6章では本編全体を総括し、統治の不安の今後、実証データから見る不安への対応の可能性を考察した。