第42回大会準備委員会からのメッセージ

二十一世紀の社会心理学の重要課題と方法論 ―― 第四十二回大会への招待 ――

大会準備委員長
愛知学院大学文学部 早川昌範

 第四十二回大会を十月十三日(土)、十四日(日)の両日、名古屋市の東郊にある、愛知学院大学日進学舎で開催いたします。

 本大会は二十一世紀最初の大会ということで、「新しい世紀の社会心理学の重要課題は何か、それらはどのような方法で研究されるべきか」をテーマとして取り上げることにいたしました。

 大会準備委員会ではこのテーマに沿って、まず基調となる講演と公開シンポジウムを企画しました。さらに一般市民にも開かれた公開講演を一つと五十五分間のトーク&トークを六つ企画しました。

 講演は、重要課題は何かということを中心に木下冨雄氏にお話いただきます。演題は「この四十年間、社会心理学に進歩はあったか──では、これからの四十年は?」です。まず、日本社会心理学会が発足してからの変化について話され、社会心理学は進歩したといえるのだろうかと問題提起されます。次いで、現在の社会心理学に欠けているのは何か、これから何をすべきかについて語られます。

 公開シンポジウムは、方法論を中心に討論していただく予定です。テーマは「二十一世紀における社会心理学のパラダイム」といたしました。この公開シンポジウムは日本学術会議(行動科学研究連絡委員会)との共催で行われます。話題提供はそれぞれ異なった研究法を得意とされる三人の方にお願いしました。

 池田謙一氏には「コミュニケーション研究技法としての社会調査」と題して、すでに実用化されているパネル調査やスノーボール調査の可能性について論じていただきます。

 唐沢穣氏には「実験社会心理学から見た『社会』」と題して、実験法の重要性と問題点、抽象的人間観の意義と是非について論じていただきます。

 箕浦康子氏には「客観的な社会的現実はあるのか?」と題して、論理実証主義的アプローチと解釈的アプローチを対比して論じていただきます。フロアを含めた活発な討論を期待しています。

 公開講演は「愛とは何か──『心の時代』をどう生きるか」というテーマで、二人の方にお話いただきます。

 トーク&トークは、今日の社会心理学の諸問題の中から六つのテーマを選び、それぞれの司会をしていただく先生に具体的な企画を依頼したものです。テーマは次のとおりです。

  • 「対人認知と対人魅力の関係」
  • 「なぜ?子どもたちはこんなにも変化したのか──いじめを通じて──」
  • 「『無党派層』の社会心理学」
  • 「社会心理学と言語──対人関係調整の規範とストラテジー──」
  • 「高齢者介護問題への社会心理学的アプローチ──ケアマネジメントにおける利用者との関係づくり」
  • 「インターネットは社会関係資本を増大させるのか」

 二日目の午後の最後に自主企画・運営シンポジウムが予定されています。いずれも興味深いものばかりです。

  • 「臨床社会心理学の最前線」
  • 「安全性拡充のための『社会心理学的装置』の構想──(セーフティ・カルチュア)のための社会心理学──」
  • 「自己心理学がつなぐ個人と社会──自己心理学の可能性を探る」
  • 「社会心理学における進化心理学的アプローチの有効性を探る」
  • 「エイズ問題の解決に向けた学際的アプローチ(2)」
  • 「社会心理学と臨床心理学の接点」

 研究発表は口頭発表が九十件、ポスター発表が二一一件で、合計が初めて三〇〇件を超えました。口頭発表には十五セッションを設け、ポスター発表には十四会場を設けました。予約参加者数だけで四〇九名です。多くの会員の皆様の活発な研究の交流が行われますよう期待しております。

 懇親会は第一日目の午後五時半から学内の学院会館で開催します。キャンパスの夜景とおいしい料理やワインを楽しみながら、アットホームな雰囲気で、会員相互の親睦を深めていただけるものと確信しています。現在一八六名の方の予約をいただいていますが、当日参加も歓迎いたします。

 大会の頃は秋半ばのさわやかな季節です。どうか多数の皆様がご参加くださいますよう心からお待ちしております。