1.研究室,ゼミの特徴(研究テーマ,学べる内容)
専攻に所属する5名の教員(吉田寿夫・森久美子・野波寛・清水裕士・稲増一憲)の研究テーマを合わせると、対人関係・教育・集団・意思決定・環境問題・メディア・政治などです。また、吉田先生・清水先生という日本を代表する心理統計教育が得意な教員がいらっしゃるため、統計教育の充実度は学部・院ともに国内トップクラスといえます。
学部では、2年後期からゼミに所属し、2年半みっちり学ぶことになります。卒論指導に際しては、5名の教員はいずれも狭い意味での自身の専門に拘らず学生の関心に合わせたテーマについて指導を行っています。社会学部の専攻であるために、元々社会調査士の資格が取得可能ですが、それに加えて次年度入学生からは認定心理士(心理調査)の資格も取得できるようになる予定です。
大学院では副指導教員制が導入されているため、複数の指導教員のゼミで学ぶことができます(社会学研究科の社会心理学以外を専門とする教員を副指導教員とすることも可能です)。加えて、社会心理学研究センター (http://www.kg-rcsp.com/)という学部・研究科の枠を越えた組織があり、セミナーが頻繁に開催されています。
2.ゼミ運営で工夫している点とその成功例など
社会学部のゼミということで、現実の社会問題や流行、サブカルチャーなど、一般的には心理学よりは社会学で扱われるようなテーマを研究したいという学部生も多いです。そこで、多様な研究テーマに対応するためのデータ取得法として、実験室実験や授業での質問紙調査に加えて、SNS上での調査、クラウドソーシングサービスの登録者やウェブ調査会社のモニターに対する調査、フィールド実験、質的インタビューなど、多くの手法を取り入れています。
また、「文系」学生にとって統計分析の習得は社会心理学を学ぶ上での高いハードルのひとつだと思いますが、EXCELのマクロを用いたフリーの統計分析ソフトHADを用いることで、「どこでも」「(比較的)簡単に」統計分析を行うことが可能になっています。HADは多くの大学の社会心理学研究室で利用されていると思いますが、関西学院大学の社会学部には「会いに行けるソフト製作者」が居ることが特徴です。
3.ゼミ所属を希望する学部生,大学院生に向けてのメッセージ
関西学院大学社会学部社会心理学専攻は、多くの社会心理学者を輩出している伝統ある研究室です。また、5名の専任教員や(電磁シールドボックスやネットワークブースなどを備えた)複数の実験室といった社会心理学研究・教育の充実度はもちろんのこととして、社会心理学以外の分野との垣根がとても低いのが特徴です。隣接領域の研究者が集まるキャンパスや頻繁に行われるセミナーの存在により、日常的に多分野の研究者同士のコミュニケーションが行われています。各分野で「当然とされていること」は異なるため、始めは戸惑いも大きいかもしれませんが、社会心理学は元々学際的な特徴を強く持つ学問分野です。積極的に異分野交流・他分野交流を楽しんで欲しいと思います。それにより、社会心理学とはどのような学問分野であるかを知る機会になるとともに、社会心理学者が活躍できる場所(身もふたもない話をすれば就職先)の幅広さにも気付くことができるのではないかと思います。