比較することの意味と意義 -社会心理学と比較認知科学の新たな接点を求めて-
Why we compare: Exploring new frontiers for social psychology and comparative cognitive science
(共催:日本動物心理学会)

第2日(9月18日) 12:15~13:45  H号館2F 201

企画者
石井 敬子(神戸大学)
友永 雅己(京都大学・非会員)
話題提供者
菊水 健史(麻布大学・非会員)
友永 雅己(京都大学・非会員)
大平 英樹(名古屋大学)
増田 貴彦(University of Alberta)

概要
本シンポジウムの狙いは,「比較」に着目し,比較認知科学および(社会)心理学におけるその意味や意義を明らかにしながら,どのような新たな接点が可能なのか,さらにその接点の先にはヒト(人)の本質にかかわるどういった解決すべき課題があるのかについて議論することにある.各話題提供の概要は以下の通りである.

菊水 健史氏 「ヒトとイヌの共生から見えてきたこと」
ヒトとイヌは4万年にもおよぶニッチの共有を経て, 特異な関係性を構築してきた.その過程で獲得したイヌの認知的特性は,ヒトがどのような動物をパートナーとして選んだかに因るが,その選択のあり方からヒトのあり方も伺える.今回,イヌの社会性と親和性の解析,そこから見えるヒト社会についても考察したい.

友永 雅己氏 「参照点としての大型類人猿,特異点としての大型類人猿」
比較認知科学は, 社会的知性などヒトのこころの進化的なユニークさと連続性を明らかにすべく,現生の最近縁種である大型類人猿を最重要の研究対象として位置づけてきた.しかしそのことが逆にヒト科に属する大型類人猿たちの多様性を過小評価することになってはいないだろうか.人間のこころを理解するための参照点であり,かつこころの多様性の特異点でもある大型類人猿のこころの概要について改めて考えてみたい.

大平 英樹氏 「共通原理を求めて:社会性の神経基盤を問う意味」
比較とは共通の尺度による測定である. 比較するからには共通原理が想定されるはずであり,それなくては,そもそも比較する意味はない.このことを,ヒトの社会性の神経基盤を例として考えたい.具体的には,社会性を,動物とも共通する報酬システムと強化学習システムの外挿から構想可能かを検討する.

増田 貴彦氏:「“比較”文化心理学―文化類似性と文化特殊性のバランス理論」
近年,文化心理学では,様々なこころの要素の文化特殊性のみならず,それぞれの文化にみられる類似性にも焦点をあてたバランスのとれた研究報告が必要とされている.本トークでは,知覚・認知研究などで行われている最近の研究を紹介し,より精緻な文化比較研究を進めるために今後求められる研究のありかたについて論じる.

動画


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